近年のリモートワーク需要の急増化やロシアによるウクライナ侵攻などによって半導体不足が続いておりますが、一番大きなダメージを受けたのは自動車業界だと言われています。モーターの制御の役割で使用されるPWMなどのパワー系半導体や各種センサーなどの重要な役割を果たす部品の供給不足が続いています。この半導体不足問題が解消する目途は立っておらず、2024年まで続くという声も上がっています。そんな自動車業界ですが、半導体不足ではなく、EVの日本での普及が進まないという問題も抱えています。地球温暖化の深刻化が止まらない今、世界でのEVへの人気は高く、普及率も向上の傾向にある中、普及率において日本ではかなり遅れを取っています。今回はそんなEVの日本での普及が進まない理由、世界との比較を交えて解説していきます。
EV(電気自動車)とは?どんなメリットがある?
EVとは、Electric Vehicleの略称で、電気で動力を供給して走行する電気自動車です。走行時に二酸化炭素排出量が一切ないため環境にやさしく、従来のガソリン車と比べて燃料や日々のメンテナンスなどのランニングコストも安く、走行時の音が静かなど多くの利点があり、世界的に人気が高まっています。
世界との比較
世界中で人気上昇の傾向にあるEVですが、日本ではあまり普及が進んでいません。中国や欧米では特に普及が進んでおり、アメリカ政府は2030年までに新車の50%以上を電気自動車にする、EU(欧州連合)は2035年までにはガソリン車やディーゼル車の製造を禁止する、イギリス政府も2030年までにガソリン車、ディーゼル車の新車販売を禁止する、とそれぞれ発表しています。
そして実際に、イギリスでは2021年の新車販売台数の11.6%がEVで、75万台も販売され、フランスでは2021年のEV乗用車登録台数が前年比46.2%増、アメリカカリフォルニアではシェアが10%を超えるなど、世界各地で普及がどれだけ進んでいるかが分かります。
その一方で、日本政府もガソリン車の新車販売を2035年前後に廃止する目標との戦略を発表しているものの、現状は日本のEVの2021年の新車販売台数の割合は全体の0.9%でたったの2万台ほどで、日本が他の先進国と比べて遅れを取っていることがうかがえます。
なぜ普及が進まない?
では、日本での普及率がなかなか進まないのはなぜなのでしょうか。
- 車両価格が高い
EVを購入するか検討するにあたって、一番ネックになるのが、その車両価格の高さだと言われています。その負担を軽減するために、補助金の制度が設けられ、11月には積み増しが決定もしました。
- 充電設備が不十分
ガソリン車との一番の違いは、燃料がガソリンではなく電気であるため、充電をする必要があるという点です。日本では現時点ではガソリンスタンドほど充電設備が充実しておらず、家に充電設備がない方にとっては、利用する上での不安感があるとの声が上がっています。
- 原発への懸念
今後EVが普及するようになると、電力供給が追い付かなくなると、太陽光発電のほか、原子力発電が使われるようになるのではないかと言われています。未だにはっきりした方針が決まっておらず、事故や自然災害の際の放射線物質の漏えいの危惧もあり、一概にもEVを普及させるべきであると日本の国民が思えないという現状があります。