早稲田ドラフト1位トリオ:斎藤、福井、大石。2010年は同大学からドラフト1位が3人も選出されました。
ハンカチ王子として別格の知名度を誇った斎藤投手が注目されたドラフトでしたが、野球関係者は大石は別格と各紙注目していたのが今でも記憶に新しいです。
西武大石投手:2010年ドラフトで6球団が1位競合指名
ハンカチ王子が注目された2010年ドラフト会議でしたが、実際に1位競合が多かったのが大石投手。その数は6球団にわたりました。
- 横浜 大石達也
- 楽天 大石達也
- 広島 大石達也
- オリックス 大石達也
- ヤクルト 斎藤佑樹
- 日本ハム 斎藤佑樹
- 巨人 澤村拓一
- ロッテ 斎藤佑樹
- 阪神 大石達也
- 西武 大石達也
- 中日 大野雄大
- ソフトバンク 斎藤佑樹
上記の通り指名発表があったのですが、大石の名前が4連発した時の会場のどよめきは異質でした!全球団がまさか大石1位指名とすら感じるほどに。
早稲田大学時代の大石投手は超本格派でMAX155キロ
なぜ話題の斎藤投手すら霞むほどの指名を獲得できたのでしょうか?
実際に当時の早稲田大学では大石投手は4年時に記録はもちろん、ストレートMAX155キロを記録するなど、別格の活躍をしていました。
- リーグ通算60試合に登板
- 10勝4敗
- 防御率1.63
- 217奪三振
- ベストナイン1回
鳴り物入りで西武入団も違和感はルーキー初年度から
大石投手は6球団競合の末、西武ライオンズに入団しました。当時の監督:渡辺氏の推薦で先発投手での起用が示唆されており、誰もが大石投手の活躍に注目していました。
しかし違和感は数カ月もしないうちに表面化することに。
紅白戦での初登板では大石投手の売りであったストレートは140キロ前半、むしろ130キロ台がほとんどだったのは鮮明に記憶に残っています。
本格派右腕の肩書でプロ入りした投手は基本素人が見てもワクワクするんですが、野球素人の筆者が見ても違和感を覚えました。
実際に大石投手自身もシーズン開始前に下記の通り発言しております。
自身も「このままじゃ通用しない」、「スピードが全然出ない」と語るなど開幕二軍スタートも囁かれた。その後、東日本大震災のためにブライアン・シコースキーが一時帰国した影響でリリーフとして開幕一軍に登録されたが、4月15日の練習中に右肩の痛みを訴え、登板機会のないまま登録抹消となった。
ウィキペディア
その後の大石投手のシーズン結果
登板数 | 勝 | 負 | セーブ | ホールド | 防御率 | |
2012 | 24 | 1 | 1 | 0 | 1 | 2.75 |
2013 | 37 | 0 | 5 | 8 | 2 | 6.38 |
2015 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.00 |
2016 | 36 | 1 | 0 | 0 | 3 | 1.71 |
2017 | 20 | 2 | 0 | 0 | 4 | 0.93 |
2018 | 10 | 1 | 0 | 0 | 2 | 7.00 |
成績だけ見ると、中継ぎ投手としてはまずまずとの印象です。特に2016,2017年の成績は優良中継ぎ投手にも見えます。
2018年以降の顕著な劣化
筆者はルーキー時代から大石投手のストレートに常に疑問を抱いていましたが、ずっとストレートに関しては大学時代MAX155キロという肩書と実際の投球には大きな乖離があったと思います。
2018年時には2軍でもストレートは通用しなくなっていったように思えます。
2019年シーズン終了時に戦力外通告、引退へ
劇的な改善がないまま、2019年シーズンは1軍登板なし。実際に大石投手自身も覚悟していたのではないでしょうか?
シーズン終了後、戦力外・引退の発表がされました。
「ハンカチ世代」ドラ1が現役を引退する。西武大石達也投手(30)が3日、球団から来季の契約を結ばないことを通告された。今後は現役を引退し、今年から新設された「ファーム・育成グループ」のスタッフとしてチームをサポートする。
球団事務所を出た大石は「野球は続けるつもりはありません。ほぼほぼ悔しい思いしかしてないが、9年間もやってこれたのは、今後の人生の中で良い経験になるのかな」とサバサバとした表情。今後について「球団から話を頂いていますので、それを受けようと思います」と話した。10年ドラフトで6球団競合の末にクジを引き当てた当時監督の渡辺GMは「今年は(MLB)メッツと提携したこともあるし(派遣も含め)大石をうまく生かせたらと。やらせたいことはたくさんあります」と期待した。
日刊スポーツ
西武大石世代のドラフト同期には秋山、牧田
鳴り物入りで西武入団した大石投手ですが、同期には秋山、牧田という今や日本球界を代表する2名がいます。
同期に日本を代表する打者秋山選手、メジャーリーグにいった牧田投手がいる現実は大石投手を苦しめたのかもしれませんね。
実際のサラリーマンでも10年ほどすると確実に同期との格差が出てきます。
入社当時は仲のいい同僚関係としても、10年たつと役職にも変化が現れ、単純に仲のいい同僚であった関係にも違和感が生まれ、焦りや劣等感を感じるケースは多々あります。
それでもなお、ドラフト1位の価値は別格!引退後は球団職員に
球団事務所を出た大石は「野球は続けるつもりはありません。ほぼほぼ悔しい思いしかしてないが、9年間もやってこれたのは、今後の人生の中で良い経験になるのかな」とサバサバとした表情。今後について「球団から話を頂いていますので、それを受けようと思います」と話した。
日刊スポーツ
引退を決意した大石投手は上記の通りコメントしています。上記から球団職員~コーチの路線が伺えます。
よくネットやSNSでドラフト1位入団は、入団時に~年間は戦力外にならない、引退後は基本球団職員を保証される契約がある。と言われています。
真偽はわかりかねますが、実際にプロ野球ドラフト1位の倍率・難易度は東京大学に入学するのをはるかに凌駕すると言われています。
そのような契約内容でプロとして迎えられるのは当然なのかもしれないですね。
大石投手引退に対する世間の声
ファンの方々は本当に残念という意見が多かったです。
ただそれ以上に多かった声は、大石投手は元々リリーフだったのにそれを無理やり先発投手として育てた事でリズムが完全に狂ってしまったという事ですね。
ただし、プロ入団後は基本中継ぎ起用がほとんどです。約10年間あれば修正期間はいくらでもありました。
まとめ
今回は大学時代のスター大石投手についてまとめてみました。
6球団にドラフト1位指名されながら、同期にスターが2人いる状況は非常に辛かったのかもしれません。大学時代の実力があればそのポジションに大石投手がいたのかもしれませんね?
ただし長い人生、まだ大石投手は30歳ほどです。自身の経験を活かし、若手の育成に努めて頂けるでしょう。大石投手の第二の人生に期待です。